2015年12月26日土曜日

『職業としての大学教授』潮木守一

この本を読みました。
 
 英米独仏と日本の、大学教員をめぐる諸制度の比較です。

日本の特徴としては、
  • 一大学しか経験していない教員の割合が高い(独では同一大学内での昇進は禁止)
  • 大学教員になる際、その大学の採用試験以外の、共通の資格試験などがない(独では論文審査、仏では共通試験がある)
  • 教員になってからの評価制度や給与体系が確立されていない(英ではHEFCEが業績を評価し研究費を傾斜配分。米では大学間の給与の差が大きいので競争がおきる)
  • 博士号取得者の、大学教員以外のキャリアパスが少ない(独では企業へ就職の道がある。)
  • 博士課程の学生が在学中に研究や教育により収入を得る方法が少なく、また学費を親が負担する確率が高い(独ではこの時期に研究員として収入が得られる道がある)
とのこと。

その他興味ぶかいと思ったのは、英や仏では教育専門の教員がおり、特にフランスでは高校教員が大学教員になるキャリアパスがあるいうことでした。


どの国の制度も、全体を見ると長所もあれば短所あるようで完全にうまくはいかないのでしょうが、制度面でとりうる選択肢はたくさんあるのだなとわかりました。

2015年12月5日土曜日

『イギリスの大学・ニッポンの大学』苅谷剛彦




この本では、まずオックスフォード大学の教育方法と英国の高等教育の現況の紹介のあと、それをふまえ日本の現況と展望が書かれています。


第一部では、筆者が赴任していたオックスフォード大学の教育の概要が紹介されます。
たとえば
  • 大学は、試験実施・卒業認定等を行う「ディパートメント」と、より生活に根差し少人数教育の基盤となる「カレッジ」から成る。
  • 教育の中心は、カレッジにて週に1回1時間、教員1人が学生1-3人を指導するチュートリアルと呼ばれる授業。 課題文献リストを読みレポート作成(毎回A4約10枚)した上でのぞみ、議論や質疑が行われる。なお、それを支えるのは各カレッジの豊富な基金とのこと。
  • そのほか、学科が開講するクラスやレクチャーがあるが、各講義の出席でなく学期末の試験(3時間でレポート3本を書くような試験)の合否により評価される。なお出席人数はそれらの授業でも20-30人。
  • 入試では、学力テストのほか、専攻分野への適性試験・論文提出・インタビュー等が行われ、カレッジでの面接で最終判断がなされる。教員は、自分が指導したいかという基準で学生を選考する。
ただしカレッジ制は英国でも珍しいそうです。
英国では、このような教授法を通じて、社会へ貢献する一部の「教育ある市民」「反省力ある実践家」を育てることを社会が容認していることが日本と異なるとの指摘でした。


第二部では、次第に教育機会を増加させてきた英国の政策と、それにともなう教育費の増大、その対処としての授業料増額、またそこにみられる社会矛盾(授業料の増額⇔教育機会の拡大)などが書かれていました。


第三部では、それまでの内容を参考に、日本の現状と今後の展望が述べられています。
大学教育の今後の実質化を論じる際、たとえば学修時間を増大させることが指摘されているが、まず企業の採用活動における評価基準や、財政基盤の弱さ等の問題がもっと論じられるべきとのことです。

初心者でもわかりやすい本でした。
日本で大学生は入試でも授業でも「顔の見えない大衆」の一人と扱われるのに対し、オックスフォード大学では、「顔の見える」関係性がある、という視点が印象的でした。





2015年10月4日日曜日

『絵本の本』中村柾子

著者 : 中村柾子
福音館書店
発売日 : 2009-07-01

長い間保育士として絵本を子どもと読んできた筆者の体験談に基づく絵本論にはとても説得力がある。

保育園では、絵本が子どもの興味・疑問をひきおこして、その後子ども同士で話し合ったり、実際に確認したり、遊びに発展したりということがたくさんあったようだ。

絵本は、単に文字や知識を覚えさせる以上に、子どもに本質的な変化をおこさせるものだということがわかる。

その変化は、即座に・直接的に起こるものではないので説明は難しいけど、説明できないから関連がないわけではない・・というくだりに納得。

確かに絵本の影響を科学的に証明するのは難しい。
でも多くの人が、絵本の力・よさを実感していることは事実。私もとても実感している。
その実感(経験)をもつ人がその可能性を信じて発していくことこそ重要なのかな、と改めて思えた。

またこの絵本では、創作の物語絵本のほか、科学絵本や昔話絵本についても、子どもにとってどんな意味があるか、掘り下げて説明されている。

一方、かわいいだけの絵本、想像する余地が残されていない絵本、昔話で残酷な場面を省略してしまっている絵本、大人の好みで作られている絵本などには疑問が呈されていて、深くうなずきながら読んだ。

とはいっても著者も、古典ばかりにたよるのではなく、新しい絵本を大人が積極的にみとめていくこともすすめており、絵本選びは一筋縄ではいかないことがわかる。

子どもに変化をもたらすような絵本との出会いを数多く準備できるよう、大人の試行錯誤が要るなぁ。















2015年9月26日土曜日

『情報貧国ニッポン: 課題と提言』山崎久道著



この本の内容は下記のような流れですすむ。

・情報はなぜ大事か→行動に影響を与えるため
・情報のストック・流通の日本の現況
・いかに教育をするか


まず、情報は使うからこそ重要という考えが説明されている。
たとえば日常生活や企業での経営でも情報は「行動の指針」「資源」で、その後に影響をおよぼすという意味で重要だという。

けれど日本ではその考えが普及せず、使うための情報整備(たとえばデータベース化やインデクシング)が弱く、情報の自給率も低いという。

たとえば米国にくらべ、索引つき図書が少ないこと(翻訳の際索引が省かれることも)や、論文で他国からの引用が多いことなどが挙げられている。

最後に、その克服のため必要な情報リテラシー教育についてふれられている。
筆者は大学で、情報の重要性を学生に認識してもらうとともに、テーマ設定~研究報告書の作成まで、情報の使い方の一連の流れを教えているとのこと。

大学図書館でも最近では、データベースの使い方だけでなくその前後が射程にはいる例がある(たとえばレポートのテーマ設定や、書き方のセミナーを行うなど)。その際、「情報は、自分の生活や社会をよくするために使う重要なもの」という考え方を浸透させることが一番大事なんだなと思った。(それが難しい)

2015年9月21日月曜日

『子どもと本をつなぐ橋』田島多恵子


この本は、文庫運営やストーリーテリング等、子どもの読書に長く関わられた方によるもの。
絵本から本への移行期についてのヒントが多く、とても勉強になる&共感する部分が多かった。

特に、子どもが文字が読めるようになっても、大人が一緒に読んであげることが大事 という部分に納得。少し長い絵本や、絵のない少し長めの童話、昔話などを読んであげることがすすめられている。

文字が読めるからと読んであげなくなると、子どもは読む本の幅を広げていくのが難しくなってしまうとのこと。自分で読めない少し難しいお話でも、聞けば理解できるので、親が読んであげることは、次に自分で読むことへの橋渡しとなるという。

また、文庫の経験から、本の楽しみを知っている子は、普段マンガを読んだりしていても、突如長いお話に没頭する時期もあるという。本ばかり読むことがいいわけではなく、本を読む楽しみも持てて、別の楽しみもあり・・、というのがいいと自分も思う。

「子どもたちが、読書の中に喜びを見いだせるよう、見守ってくれる大人が、ひとりでも多くいてほしいと願っています」(p.10)と冒頭にある。

読書の面白さというのは千差万別で、知識を得ることもできるし、考え方に影響をうけることもあるし、新たにやってみたいことが見つかることもあるし、お話の世界にいっていろんな感情を体験することもできる。なのでそのバリエーションの中のひとつでも、子どもが楽しみとできるよう、見守る大人になりたいなと思います。

2015年9月13日日曜日

『やさしさグルグル』行正り香



元気を出したいときなどにエッセイを読みたくなる。
本屋でこれは、と思ったとおり、素敵な一冊だった。

行正さんは、高校3年でアメリカに留学してそのままアメリカで大学へいくなど、変わった経歴の方。
その後も仕事で世界を飛び回っていたことや、独創的なお母さんの影響もあってか、考え方が柔軟で面白い。

教育に関し、日本ではセカンドチャンスを得にくいとか、考えさせるきっかけがないということも仰っていて、共感。

日本でテストの点がよいということと、社会でたくましく生きていく力を得ているということが、いかに違うか・・と改めて思った。

下記のようなウェブサイトも今は運営されているとのこと。

なるほどエージェント

また、映画や音楽やお酒など、お気に入りのものに囲まれて暮らしている雰囲気が本から伝わってきて、とてもさわやかな気持ちになる本でした~。

2015年8月23日日曜日

『絵本をよんでみる 』五味太郎著


絵本をよんでみる (平凡社ライブラリー)
絵本をよんでみる (平凡社ライブラリー)

この本はすごい。
久々に、次々読みたい、でも読んでしまうのがもったいない、と思う本に出会いました。

13冊の絵本を、五味太郎さんが、小野明さんという方と対談形式で深く「よんでみて」いる本です。
絵本の描かれていない部分をよむ、というのは、みんな多少はやっていることと思いますが、そのよみが深すぎて深すぎて、全身・全力でぶつかっている感じです。
登場人物の来し方、人生、普段の過ごし方(笑)、職業、関係性、本音…などが、五味さんのフィルターを通して考察されていています。

特に、アーノルド・ローベルの『ふたりはいっしょ』がまくんとかえるくんと、同じくローベルの『ふくろうくん』の考察にはうならされるとともに、笑いました。

がまくんとかえるくんは老人もしくは子ども、二人は友情ごっこをしている?というネタや、ふくろうくんは読者の視点を意識したうえでの行動をとっている?など・・

他の絵本にも同様に、深くメスがいれられているので、ぜひいろんな人に読んでみてほしい本です。

絵本も本も、どう読むかは読む人のもつ厚み・深み次第なんだなあ…と思わされました。
絵本の感想、というより、絵本を引き金にした五味さんの思索・哲学が書かれているような感じです。

2015年8月9日日曜日

『図書館を演出する―今、求められるアイデアと実践』


こちらの本では、図書館を演出する方法が、基礎理論編、実践編、技術編の3部構成で説明されています。

基礎理論編では、舞台美術家の方ならではの、空間づくりのコツが紹介されています。
いかに気持ちよく人が本と出会えるようにいざなうか。
また時には本を目的としなくてもきてもらえるような、心地よい空間をいかにつくれるか。
といった内容が書かれています。

たとえば、図書館の入り口には、はじめてきた人がこれから何をするか考えられるような、案内図や広場があるか?
本をさがしまわったあと一息つける場所があるか?
色数や情報が多すぎないか? などなど。

基本的に図書館では、ポスターの貼りすぎ、色のつかいすぎなど、視覚的に情報が多すぎる状態になってしまっているんだろうなぁと思いました。

実践編では、大阪芸術大学で行われた学生協働の試みが紹介されています。
2008年に『展 FINAL in 図書館』と題して行われた、図書館の資料も使い、図書館内全体を会場とした展示の試みです。

他にもさまざまな、既成概念をうちやぶるようなコラボレーションが紹介されていて、可能性の多さに驚かされました。
健康診断の受付を行いその待ち時間中にガイダンスを行ったり、また広報を学ぶ学生に、図書館ガイダンスの様子を自主制作の新聞記事にしてもらうなど、多様な試みです。
それらは日々、図書館から外に出て活動をされている努力のたまものとのことで、「コラボは1日にしてならず」の言葉が印象的でした。

技術編では、図書館を演出するために新たな企画をおしすすめる際、実際にどのように計画をすすめるのか、綿密なプランのたてかた・すすめかたが紹介されています。

こういったことを学ぶ機会は実は少なく、見よう見まねで行っていることが多いので、大変ためになりました。

図書館を場所として好きになってもらうために、とても参考になる本なのでぜひおすすめしたいです。

2015年6月7日日曜日

ワーママが勇気づけられる本


最近、ワーママ向けの本を2冊、再読してみた。
ひとつはこちらで、夫の協力仰ぐべく悩んでいた時期に買った本。


著者の小室さんの、家事の分担やタイムスケジュールが書いてあり、「これだけ手伝ってもらっていいのか!」と過去に勇気づけられた覚えがある。

また小室さんは、独身時代も振り返りつつ、仕事一辺倒の生活より、生活も充実ることをすすめている。
たとえば残業をするより恋人や友人とあう、新しい場所に行ってみるほうが新たな視点・発見がうまれて、仕事もはかどる、と。

子どもがいても、仕事以外になにかボランティアなり、活動をすることも、すすめている。それはそれぞれの活動がそれぞれのフィールドでのアイディアの素になったり、人との出会いがひろがったりするから。

また仕事では、人にまかせることで人を育てるべしとのこと。
仕事に時間がかかるタイプの人は、なんでも自分でしようとしすぎで、人にまかせることで、自分はまた別のことにも挑戦できると。

やりたいことをあきらめたくない人を後押ししてくれる本です。


もうひとつは、もう少しシビアな本。


博報堂の「リーママプロジェクト」をもとにした本で、はたらくママ社員さんたちの生の声がつまっている。

それによると、仕事と育児の両立=ワークもライフも100点満点というのは幻想だと。
確かにそうで、専業主婦だからこそできるようなきめ細やかな子育てをしながら、男性社員と肩を並べて仕事もしようなんて不可能に決まっている。

でも、そこであきらめるのではなく、自分の大切なものを見極めながら、少しずつ現状を打開することが大事、と。
結局もがくしかないのかもしれないけど、その声をあげなければ現状は変わらないというメッセージと受け取った。

掃除を少々していないとか、そんなことはどうでもいい、夕食は納豆ごはんでもいいと。(笑)
苦しみながらもそれを笑い飛ばす強い母親たちの姿に勇気づけられる本です。

正解なんてないけど、時々こういう本を読んで考えたり、勇気づけられています。











2015年5月15日金曜日

『「本」と生きる』


童話作家であった著者の方が国会議員としていかに子どもに関する読書についての政策を実現されていったか、またその背景として読書に関わる現状がどんなものか、各種データ等もひいてわかりやすく解説された本です。

新書とはいえあつかわれる範囲が幅広く、たとえば下記のような内容がもりこまれ、とても勉強になりました。

  • デジタル教科書に関する政府の取り組み
  • 江戸時代の教育システム
  • 学校図書館の充実のための政策(司書教諭や学校司書の設置について)

読書に関しても、あらためて、下記のようなことが示されていました。

  • 読書量はへっているという各種調査がある
  • 読むことだけでなく、本を媒介に思考をすることが大事
  • 本を読むことで考える力や論理的に読んだり書いたりする力がきたえられる
  • 子ども時代の読書量が、その後の読書の習慣につながる。特に、親が本を読んであげる、また本に限らず言葉をかわすことが大事。また、子ども時代の読書によってその後の能力や自己肯定感が高まることを示したとする調査もある

また、読書離れの原因として、子どもに本の話をする大人が減った という話もありました。
自分としては、子どもが読むものがレベルアップするのにあわせて、自分ももう一度絵本~児童文学を読んで一緒に楽しんでいきたいなーと思います。

絵本講師養成講座の修了生勉強会

先日(5/9)、絵本講師養成講座修了生の勉強会にいってきました。

絵本講師の方お二人の講座をきいた後、専任講師のお話、そしてグループディスカッションでした。

講座をされたうち一人の方は、現役大学生(!)で、お仲間の大学生に普段講座をされているとのこと。
お母さん・お父さんになりたい学生さんたちに、子育てにおけるアタッチメントの重要性、そのために絵本をよむことの大事さなどを伝えていらっしゃるそうです。
お若いのにすでに実践にうつされているところがすごいなぁと思いました。

もう一人の方は東京で普段活動され、色彩心理学のようなものを学ばれたことから、そのこととからめた絵本講座をされているとのことでした。
そこで紹介された下記の絵本がとっても気に入りました。


絵本講座はそれぞれの方の個性がでるのがいいところだなと思いました。
同じ講座を学んでも、こんなにいろんな講座が結果としてうまれるというのはなかなか面白いと思います。

自分はなかなか、自分の意見を主張するのが得意でないのですが、その日の専任講師のお話で「自分の意見を持つことが大事、それは他人と違うかもしれないがそれはそれでかまわない」ということをおっしゃっていて確かにと思いました。

自分の意見を主張することは他人の意見も受け入れることに実はつながるんかなと思いました。

2015年4月28日火曜日

『子どもと本』



子どもと本 をつなぐのは人である というのがこの本の端的なメッセージと感じました。

筆者が司書教育をうけ、また実践もつんだ米国の事例が多く紹介され、図書館員の専門性(を保障する制度設計)という意味での日本の遅れが浮き彫りになっていました。

たとえばアメリカで筆者が実践していた選書方法を見ても、いかに蔵書の一冊が、ある意味社会の資産としての重みのもと選ばれているかがわかります。本は少なくとも二人の図書館員が読んだ上で、各種専門的な評価項目も鑑み、全体の蔵書とのバランスを考慮して選ばれる、さらに決まらない場合には常連の子どもに意見をもとめることもあるとは驚きでした。

そのような図書館員の眼が、児童書出版のレベルを高める機能を果たしてきたというのも、図書館員の社会における重要性を示していると思いました。

日本においても、公共図書館の不足を補完してきた文庫活動の先鞭をきられた石井桃子さん・土屋滋子さん・村岡花子さんや、明治時代に山口県立図書館で児童向けサービスの実現に尽力された佐野友三郎さんなど、素晴らしい方々が紹介されていましたが、その方々の意思が社会で認知され制度化されるにいたっていないのは筆者の指摘の通り残念なことです。

その他、昔話についての理解に役立つ専門的な知識も紹介されています。専門的に分析しすぎるがゆえに楽しむのを忘れないよう意識も倣いたいと思いました。

全体に、母親としてだけでなく、大学図書館員の自分にとっても学ぶことの多い本でした。

2015年3月16日月曜日

『あなのはなし』

あなのはなし
あなのはなし

本屋さんで偶然みつけました。
絵がちょこっと漫画チック?と思ったけど、チェコの昔話ってところと、訳者の方がまさきるりこさんだったので、買ってみる。

読み始め、お話がきゅうにはじまってひきこまれる。
なんといってもこのお話の主人公は「あな」。

靴下にあいたあながどんどん大きくなって独立してしまうなんて意味深い・・と思いながら読み進めてしまう。

お話は、あなが同行の仲間を見つける展開の繰り返しを経て、最後にはおおかみと「あな」が対峙する。
このおおかみ、最初からところどころであなたちを狙っている。

実際にあながあいているところはおまけみたいなもので、お話の面白さにひきつけられる1冊でした。

2015年3月8日日曜日

絵本を4年よんだら


最近になって絵本を本当に楽しめるようになった気がする。
今までも、きれいな絵や好きな絵にうっとりしたり、言葉のリズムやきれいさに浸ったり、ストーリーを楽しんだり感動したり、、楽しんではいた。

でも最近、絵本を読むということは、絵本に描かれていない部分をいかに思い浮かべるかなんだな・・ということがかなり実感されるようになった。

そのたぐいのことがいろんな本に書いてあったと思うのだけど、自分自身がそういう読み方をできていなかったんだと思う。
そのときは、「絵」「言葉」「物語(の筋)」は別々に存在していた。

先日ひさしぶりに、『しろくままちゃんのほっとけーき』をよんだら、以前と感じるものがぜんぜんちがった・・。

しろくまちゃん何回もエプロンかえたんだなとか、表紙に描かれてるたくさんのほっとけーきのうち半分ほどはどこにいったんだろうとか、しろくまちゃんがひとりでボールをかき混ぜてる間おかあさんはどこいったんだろう?フライパンあっためてるのかな?とか。

子どもが好きな絵本は何度も何度も読む、という感覚も最近わかってきた。自分も、何度も読みたい、何度もその世界にいきたいと思う絵本に最近よく出会うようになった。

こうなってみると、絵本を読むというのがいかに奥が深いかわかるし、子どもは絵本を楽しむ素質を持っていて、でもそれを伸ばすかどうかは周りの大人しだいということがわかる。読み手の頭の中にイメージがあるかどうかで、子どもに伝わるものが全然違うと松居直さんが本に書かれていた。(『絵本とは何か』

子どものとき、絵本でイメージの世界をひろげる経験がなかったら、字だけの本でイメージをひろげる段階にすすむことは難しいだろうなぁ。

2015年3月1日日曜日

『大学生のためのリサーチリテラシー入門: 研究のための8つの力』


大学生のためのリサーチリテラシー入門: 研究のための8つの力
大学生のためのリサーチリテラシー入門: 研究のための8つの力

この本は大学での学習に必要な8つのスキルが詳しく説明された本で、初年次向けではなく大学2・3年生向けに具体性をもって書かれた本であるところが特徴です。
(8つのスキル:「聞く力」「課題発見力」「情報収集力」「推報整理力」「読む力(読解力)」「書く力(執筆力)」「データ分析力」「プレゼンテーション力」)

まずはじめに、8つのスキルの習得に役立つ3つのキーワード(「メタ認知」「心の理論」「クリティカルシンキング」)が説明されてるところも他の類書とは異なるところだと思います。この3つは、大学での学習に限らず実生活や社会に出て働く際にも役立つだろうなと思いました。

8つのスキルについてはそれぞれ具体的に書かれており、特に「読む力」と「書く力」が表裏一体の関係にあることがよくわかりました。学術的文章を書くためにはその構造を知っている必要があり、また読む際にはその構造を前提にすれば読み解きやすく、また矛盾があれば気づけるということです。

他には情報の見つけ方だけでなく、それをどう選ぶかについても一定の知識が示されていました。

全体的に、具体的であることと、研究に必要な一連のスキルを網羅している点で大変役立つ本だと思いました。











2015年2月27日金曜日

図書館でのカビ対策について(2)


以前に基礎的なことを調べたのですが、もう少し具体的な情報をいくつかさがしました。

■原因調査について

カビの再発を防ぐため、原因調査をした記録がありました。(1)

  • データロガー設置で温湿度調査
  • 送風状況確認(ポリプロピレンのひもを書架にはりつけ・デジタル風速計)
  • コンタクトプレートで除湿機がカビの発生源になっていないか確認
  • RCSサンプラーで書架・床のカビを調査
  • レーザー粉塵計、Air-O-cellサンプラーで書庫内の粉塵を調査

■予防・環境改善

  • 除湿機設置
  • 床や窓などのカビ発生状態も確認したうえで、除去・清掃
  • 扇風機などを使用し送風、湿気だまりをなくす
  • 空調が外気をとりこむタイプなら雨の日は運転を抑える
  • 窓を発泡スチロールで閉鎖
  • 清掃の委託(の検討)

■はえた場合の除去について

  • HEPAフィルター・ULPAフィルターつきの掃除機で吸い取る
  • 70-80%の消毒用エタノールで、キムワイプ等でふき取る
  • この際、いったん資料はすべて除けて棚板もふきとることが重要
  • 専門業者に対策を相談すること

東京文化財研究所では、作業の際、下3段のみと優先順位をつけて作業されたそうです。(1)
また、文部科学省図書館では、除去作業の前にまず、不要と思われる資料2000冊を選別し廃棄されたそうです。(2)
カビの除去作業といっても日ごろの通常業務の合間に行うため、いかに効率的に(再発を防ぐことも含め)対策をとることができるかが重要だと思いました。


<参考
(1)佐野千絵ほか. 図書資料のカビ対策:三康図書館の事例. 保存科学. 2002, 42, p. 87-100.
http://www.tobunken.go.jp/~ccr/pdf/42/pdf/04210.pdf

(2)松家久美. 特集, 大切な資料を守れ!-資料保存: 利用のための資料保存~カビ除去作業の外注について~. びぶろす. 2014, 66.
http://www.ndl.go.jp/jp/publication/biblos/2014/10/02.html

(3)伊藤もも. 特集, 大切な資料を守れ!-資料保存: カビ発生後の当館での書庫管理について. びぶろす. 2014, 66.
http://www.ndl.go.jp/jp/publication/biblos/2014/10/03.html

資料の参照日は2015.2.21です。

2015年2月22日日曜日

『石井桃子のことば』

石井桃子のことば (とんぼの本)
石井桃子のことば (とんぼの本)

編集者・翻訳者としてたくさんの児童文学を世に送られた石井さんの信念の伝わってくる言葉が、随所に引かれています。
松居直さん、中川李絵子さん、松岡亨子さんなど石井さんとかかわりの深かった方々の言葉からも、石井さんの児童文学への向き合い方やお人柄が浮かび上がってきました。

岩波少年文庫の立ち上げに関わられたり、家庭の一室を文庫にされたり、自主的に学校で読み聞かせを開始されたり、アメリカに留学して児童文学を研究してこられたり、そして多くの作品を翻訳されたりととにかくパワフルに、自分の信念を行動に移してこられた方なのだなということがわかりました。

戦時中も、本の収入で牛を買って酪農を始められるなど、人を巻き込んで引っ張っていく力のある方だったようです。

児童文学は大人の文学に見劣りするものではなく、簡潔におもしろく、それでいて子どもに普遍的な何かを残すように作られていないといけない、というような信念のもと、なおかつご本人が子どもの心を持ち続けて児童文学と向き合ってこられたことがよくわかりました。

自分は必要以上に逡巡しすぎるので、この行動力に学びたいなと思いました。
それに信念を貫くためにはほかのものをいろいろ犠牲にしたでしょうし、自分に足りないそういう覚悟についても考えさせられました。

「自分たちの幸福のために働くことも必要ですが、それこそ、図書館どころではない、飢えている人のいる国のためにも、日本の子どもが、人間らしい、他のしあわせをねがう人間になる下地を備えつつ育ってゆけるよう、努力するのが、いまの日本のおとなの責任だと思います。」 (p97. 初出は 「たいせつな児童図書館」『ひびや』1967)




2015年2月16日月曜日

『心の扉を開く』


河合隼雄さんが、4章にわけ、おすすめの本を心理学の視点から紹介されている本です。
本に文脈が与えられているので、脈絡なく羅列されているより、中で紹介されている本を読みたくなりました。

心の扉を開く
心の扉を開く


自分でコントロールできない気持ち・衝動についてとか、自分の中の世界と外の世界のバランスについて、恋愛について、宗教や自己実現ということについて、各章5冊ずつ(+補足的に5冊)の計40冊の本を用いて説明されています。

語り口調が親しみやすく、滑らかに読めすぎて、かえって読後に「これがわかった!」という感じではなかったのですが、長い時間をかけて考えていくと面白そうな内容です。

言葉にするのは難しいのですが、自分や身の回りにおきていることが、自分が把握しているよりもっと深い様々な出来事の関連でできているのだろうとか、普段はっきりとわけて考えてしまう分類の間に様々なものがあるとか、そういうイメージを持ちました。

学術書のようなものよりも、小説や児童文学・絵本など親しみやすいものが多く、今後手に取ってみたいと思いました。
文学というのは人間を描いていて、特に説明できないことにどう折り合いをつけるか・どう乗り越えるかが示されていて、心理学と近い存在なのだなと思いました。

2015年2月13日金曜日

スタンダードブックストアのイベントにいきました



2月10日(火)に下記のイベントに行きました。

『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』刊行記念 礒井純充トークショー

本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた
本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた

まちライブラリーは名前や概要を見聞きしてはいたのですが、ちゃんと情報を得たことがなかったのと、この本屋さんに前から行ってみたかったので参加しました。

内容は、まちライブラリー提唱者の磯井さんをはじめとする四名の方のトークショーで、まちライブラリー発足までの経緯とともに、その裏にあるみなさんの思いを聴くことができました。

印象的だったのは、みなさんの、「オモロイ」を原動力にそれを実行に移すエネルギーでした。

まちライブラリーとは何ぞやということはむしろわかりませんでしたが、決まった様式はないこと、そして共通項は本を介して人がつながる「オモロイ」場所、ということがわかりました。

また本は、本を選ぶとか本の感想をいうという行為で「表現したい」という人の欲を昇華させてくれるもの、そしてまちライブラリーはそれを体現する場所であるという磯井さんのお話には納得させられました。

本を楽しむ、人とつながることを楽しむ、そういうことを大事にすることは従来やってきたことに加えて大学図書館でも取り入れていけるといいなと思いました。

また、イベント開催にあたりむやみに人を集めない(!)、それよりコンセプトをはっきりして続けて、本当にきたい人を待つ、というお話には勇気づけられました。

いろいろなまちライブラリーをぽつぽつ尋ねてみたいなと思います。


2015年2月9日月曜日

『こねこのハリー』

こねこのハリー (世界傑作絵本シリーズ)
こねこのハリー (世界傑作絵本シリーズ)

ひさびさに「これは!」と思った絵本です。図書館で出会って、即、てもとにほしくなりました。
てのひらにすっぽりおさまるサイズ、絵のやさしいタッチ、開く前からかわいさがあふれ出ているのですが、それだけではなくお話もまた絶妙です。

このこねこの何気ない言動本当にリアルで純粋でかわいくて、でもそれをあくまでフラットに描いているというか、甘さが抑えられていてそれが絶妙です!

他にも同じシリーズで3冊でていて、お話はどれもそのような子どもらしさ、かわいさにあふれていました。

まっててね ハリー (世界傑作絵本シリーズ)
まっててね ハリー (世界傑作絵本シリーズ)

ハリー びょういんにいく (世界傑作絵本シリーズ)
ハリー びょういんにいく (世界傑作絵本シリーズ)

ハリーのクリスマス (世界傑作絵本シリーズ)
ハリーのクリスマス (世界傑作絵本シリーズ)

大人が、子どものかわいさを再認識できて優しい気持ちになれる、すごく素敵な絵本だと思います。
子どもにとっては、どうかな?少し大きい子なら、共感できるかな~。

2015年2月8日日曜日

『ディープ・アクティブラーニング』 松下佳代編著

ディープ・アクティブラーニング: 大学授業を深化させるために
ディープ・アクティブラーニング: 大学授業を深化させるために


アクティブラーニングが一定の普及をみていますが、形式のみの導入が多いことへの反省と、それを乗り越えるための理論・手法が紹介されています。

日本では現在、身体的に能動的な学習(たとえば議論・発表など)が重視されるあまり、意欲・態度面での能動性という視点が欠落しがちだという指摘でした。

その反省を乗り越えるべく提唱されているのが本書のタイトルでもある「ディープ・アクティブラーニング」で、「深い学習」「深い理解」「深い関与」という視点から説明されています。
学習が「深く」行われる場合、学習者がその学習に何らかの意義を見出しており、そのため関与度が高くなり、その結果深い理解がもたらされるということです。

つまり、議論や発表等の行為だけではなく、学習者にとっての学習の意義づけや、その意義づけの結果深い学習がなされているかどうかの評価を、授業提供者が行うとより学習効果が高まるということです。
本書ではたとえば下記のような事例が挙げられていました。

  • 学生にコンセプトマップを作成させ、それをルーブリックで評価することにより学習が深く定着したかどうかをみる(第II部6章)
  • 授業の開始前に「学び始めシート」を記入させ、学習者の動機づけを行うとともに、3か月ごとにその自己評価を行わせる(第II部7章)

図書館が教育・学習支援を行うヒントになるかと思い読んだのですが、やはり授業設計自体は教員の方々の領域なので、図書館が担える範囲を明確にし、その範囲内で上記のような事柄を意識していかないとなと思いました。

またそれとは別に印象的だったのが、ホリスティックという視点です。それほど深くふれられてはいませんでしたが、効果的な学習をするためには、それ以外の悩みがないとか、心身ともに健康であることが必要だということです(と理解しました)。生活と学習はつながっているということで、図書館はそういう意味でも支援していけるのかなと思いました。













2015年1月27日火曜日

『あれこれたまご』『ごろごろにゃーん』


あれこれたまご (かがくのとも傑作集―わくわく・にんげん)
あれこれたまご (かがくのとも傑作集―わくわく・にんげん)

たまごがスーパーで売られるところから、いろいろなお料理に返信するまでが、関西弁&子ども目線でいきいきと描かれているおもしろい絵本です。

子どもってやっぱりお料理・食べる関係は大好きです。
娘も、おばあちゃんの家で食べた茶碗蒸しがまた食べたいなぁ、と思い出していました。
私もこれを読んで、たまごっていろんな食感に変身するなぁとあらためて思いました。

ごろごろにゃーん (こどものとも傑作集)
ごろごろにゃーん (こどものとも傑作集)

絵のもつ不思議な雰囲気に脱力&少し吹き出してしまいます。

言葉は毎ページ全部一緒です。
娘は「ことばが全部いっしょだね。つまんない」と言っていましたが・・
その後絵をみて感想を言ったりもしていたので、多少は絵を見て楽しんだのでしょうか。

意味があるのかないのかわからない不思議な絵がつらなっていて深読みしてしまいます。結局あまり意味は分かりませんが。


そういえば先日、休日に遊び代わりに(?)、家の絵本をタイトル順にならべてみたところ、娘は夢中で一緒にやってくれました。
きれいに並べると、忘れてた絵本も奥からでてきたりして、久々に読むものも手にとれそうです。

2015年1月24日土曜日

『絵本のあたたかな森』

絵本のあたたかな森―たいせつなひとに伝えたい、愛のかたち
絵本のあたたかな森―たいせつなひとに伝えたい、愛のかたち

眺めて読んで、幸せな気持ちになれる絵本案内本。

子どもにとっての絵本という視点よりも、大人である著者の今江さんが、心から絵本を楽しんで味わっている熱気が伝わってくる。

1作品が、1ページの文と1-2ページのカラー図版ページ(表紙だけでなく中身も数ページみられる!)で紹介されている。
同種の他の本にはあまりないが、著者・画家の経歴紹介があるのもよい。

紹介されている絵本は、古典ものは少なく、この本の刊行当時の新作(2000年前後)が多く取り上げられているので新たな絵本をたくさん知ることができた。

各章末には絵本でなく、絵本に関する本とか児童文学など、「絵本好きの人が、次の一歩を踏み出して下さったときに出逢えたらいいなと思うもの」が紹介されていて、絵本好きにうれしい1冊だった。

読みたいと思った絵本↓

ひとつぶのえんどうまめ
ひとつぶのえんどうまめ

タイコたたきの夢
タイコたたきの夢

3びきのくま (世界傑作絵本シリーズ―ロシアの絵本)
3びきのくま (世界傑作絵本シリーズ―ロシアの絵本)



2015年1月21日水曜日

『おちゃのじかんにきたとら』


おちゃのじかんにきたとら
おちゃのじかんにきたとら

まさにタイトルどおりの内容。
お茶の時間にやってきたとらが、家じゅうの食べ物・飲み物を平らげてしまう。

教訓めいたものなどがないのがよい。とらの豪快なたべっぷりや、とらによりそう女の子のうっとり感、起きたことをそのまま受け入れてる感じなどが楽しい。
すごくリアルというわけでもないけど動きの感じられる絵。

娘も、食べつくしてしまうとらに、驚いたり喜んだりしていた。

先日、エメラルドブックスとハニカムブックスをはしごして、入手したうちの1冊。娘はすごく気に入った模様。

絵本選びは、子供と一緒に買いに行くとどうしてもうまく決まらないので、自分一人でいくのがいいかなと思う。
子どもに読んであげて判断する、というのが理想なのかもしれないけど、一緒に行くと娘がほしいものと私がほしいものが違い、もめる。。
子どもがほしいものも尊重してあげたいけど、普段の感じからすると一時的な気持ちでいってる感じもするので。

いつも結構私にくっついて離れない娘だけど、私が一人で外出後帰宅して3冊絵本を読んであげたら満足して去って行っていた。絵本を読んであげたときの満足感はやっぱり他にないものかな?と思うことが多い。

2015年1月19日月曜日

『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『かさじぞう』

いたずらきかんしゃちゅうちゅう (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
いたずらきかんしゃちゅうちゅう (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

機関車のちゅうちゅうが、ちょっとしたいたずら心をおこして大騒ぎとなるお話。
ちゅうちゅう疾走中の、ちゅうちゅう&周囲の躍動感がすごい。

大きい街と小さい街をいったりきたりする間に変化する風景の描写に当時の生活を感じられる。
またなんといっても、ちゅうちゅうのいたずらに怒る町の人とはうらはらに、心配をして本気で助けにいく大人たちの存在がとてもほほえましかった。(ふつうだと怒られる気もするけど、)最後までちゅうちゅうは怒られることなく、無事でよかったなぁと迎えられるのは子どもには安心の結末かなと思いました。

『絵本とは何か』でも例示されていたとおり、カラフルでなくても(絵はモノトーン)、線と構図により物語のイメージをふくらましている絵本というのが納得できました。

見返しをみたとたん、娘が「はやーい」といったのが面白かったです。


かさじぞう(こどものとも絵本)
かさじぞう(こどものとも絵本)

昔話の再話でも適当に省略されていない作品として『絵本とは何か』で例示されていたので読んでみました。
扇にかたどった画面構成といい、絵のタッチといい、物語の雰囲気とよくあっています。
絵が平面的なのがまた日本的な味が出ていると思いました。

横で聞いていた夫は「この当時から資本主義やったんやな」という珍しい感想をもっていましたが。
その表現はともかく、確かにかさをつくって売れず、そうすると年越しのおもちもないというような生活の様子は、今の子供には信じられないだろうなと思います。

言葉のひびきも面白くて娘は喜んでいるようでした。

2015年1月18日日曜日

『絵本とは何か』

絵本とは何か (エディター叢書 6)
絵本とは何か (エディター叢書 6)


絵本について考えるのに大変示唆に富んだ本です。
著者の松居直さんは、日本で初めてオリジナル創作物語絵本を本格的に出版された編集者の方です。(それまでは子ども用の絵雑誌、昔話のダイジェスト、少数の海外からの翻訳絵本、などが主に流通していたようです)


その福音館書店発行の月刊「こどものとも」シリーズがもととなって単行本として発行された絵本の中には、今もロングセラーとなって親しまれているものが多くあります。
★こどものとも復刻版


この本ではその編集の経験をもとに、子どもの反応だけではなく、芸術・文学・教育・・など様々な視点による絵本のみかたが書かれており勉強になりました。
特に強調されていたのが、絵本を子どもに読むことが、書き言葉ではなく、耳で聞く豊かな言葉の体験となる、ということでした。
絵本は本への架け橋であるとか、読むことへのスタートであるという考えが(自分が賛成かは別として)どうしてもあったので、新たな視点となりました。


また、絵本の絵や言葉に関しても深い洞察があり、絵本は物語をあらわすものである、だから物語の世界をうまく形作っている絵本こそよい絵本だということです。
似たようなフレーズはよく見聞きするものの、この本では具体例が豊富でだいぶ理解が深まりました。


まずはおもしろい物語があり、絵はその物語の世界をうまく再現できる場面を切り取って描いているかという点が大事だそうです。
そうすると絵本によっては、絵が先にあってその連続で表層的に物語を作っているというか、絵と絵の間に思い浮かぶ事柄が少ないような気もしてきました。


絵本を評価・批評する目を持つことは、自分の中で否定的な見方が大きくなるようで、その是非はいまだに自分ではわからないまま勉強を続けています。
でも、こうしたしっかりした選択眼のもと出版された多くの絵本が子供たちを楽しませていたり育児を支えてくれていることを思うと、大人がしっかりした批評・選択の目を持つこともやはり大事なのかなと思います。


そのあたりに関して自分の考えはゆれていますが・・。
できるだけいろいろな考えにふれたうえで自分の考えをかためていきたいと思います。







2015年1月11日日曜日

『子どもの本の選び方』

子どもの本の選び方
子どもの本の選び方

子どもの本(絵本~児童文学)の選び方・与え方についてかなり具体的・実践的に書かれた本。

筆者曰く、刊行される子どもの本の四分の三を占める「悪い本」の見分け方を中心に書かれている。(悪い本の例:古典・名作のダイジェスト版や、いい加減に省略された民話・伝記などが中心。)

その良し悪しの基準は、「子どもが本当に楽しめるかどうか」。冒頭にある通り、子どもに本をすすめる理由はそれが外で遊ぶことやテレビとも同様に「楽しみ」「喜び」であるからとのこと。

だから、読書を教育と結びつけて強制することでかえって子どもが読書嫌いになる状況を憂えている。しかし長期的には読書に教育的効果があることは付け加えられている。

子どもの本の選び方として下記12項目が具体的説明とともに挙げられているのと、長く読み継がれたものは子ども自身が評価したものとして推奨されている。そして選ぶ目を養うには、目安として200冊の実物に目を通すといいとのこと。

(参考までに。子どもの本の選び方 12項目)
  • 「書き出しに注意する」
  • 「さし絵をみる」
  • 「安すぎる本には手を出さない」
  • 「有名人の監修・推薦は要注意」
  • 「全集形式の古典・名作は要注意」
  • 「古典・名作は「あとがき」「解説」を読む」
  • 「年齢対象の低い古典・名作は要注意」
  • 「年齢対象の低い伝記は要注意」
  • 「無署名の本は要注意」
  • 「いい本はオリジナルな本の中にある」
  • 「作者名やシリーズ名をおぼえる」
  • 「本の紹介や「ブックリスト」の活用」

また子どもへの本の与え方として、読み聞かせや、その逆に子どもが親に本を読む形式もすすめられている。また「動機づけ方式」と銘打ち(今でいう「ブックトーク」のこと?)、本の内容や面白さを大人が子どもに紹介するやり方も示されていた。

本好きになるかどうかというのは、本の楽しさを知るきっかけの有無にあると思うが、「何を」より「誰に」薦められるかというのは大きい要素だろうなー。



























2015年1月10日土曜日

2014年に読んだ本

2014年に読んだ本は87冊でした。
読んだ本を振り返ると、このときに自分の考えがこう変わったんだなーとかいうのが思い出されてなかなか楽しいです。
もうちょっと勉強の本も読めるといいんだけどな・・エッセイとかのほうが楽しくてつい、という感じです。

kayohikoの本棚 - 2014年01月~2014年12月 (87作品)
赤ちゃん教育
野崎歓
読了日:01月11日
評価5

楽しい和ー
山口智子
読了日:02月09日

すごい本屋!
井原万見子
読了日:02月23日

ベストセラー炎上
西部邁
読了日:03月01日

社会の抜け道
古市憲寿
読了日:09月07日
評価3

ふくわらい
西加奈子
読了日:10月05日
評価3

まないた手帖
山本ふみこ
読了日:10月26日
評価4

オラオラ女子論
蜷川実花
読了日:10月29日

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