2016年10月28日金曜日

おすすめ絵本『トムテ』




この本は親戚からゆずり受けました。
トムテとは、スウェーデンなどヨーロッパの国で伝わる、人々を守ってくれる小人だそうです。

絵本ではトムテが、動物も人々も寝静まった静寂の中を、すこし哲学的な物思いをしながら、見回っています。
というと少しこわい感じがするかもしれませんが、ゆっくり流れる静かな時間を楽しめる絵本です。

雪におおわれた情景がとても美しく、ひんやりした空気が伝わってくるようです。

大人の私も、静かな世界にひたれるこの絵本が好きですが、5歳の娘にも何か伝わるものがあるようで、時々この本を一緒に読みます。

こういう絵本は、大勢の読み聞かせ(特に小さい子の)にはむかないかもしれません。

この4月から半年受講した読み聞かせ講座で学んだことですが、大勢の読み聞かせと、親子(など)の1対1の読み聞かせは、それぞれ向く絵本がまったく違っています。

また、大勢でも、その場限りの読み聞かせ(本屋さんや図書館のおはなし会など)と、読み手と聴き手が親密な場合では、やっぱり向く絵本が違うようです。

こういう静かな絵本は、1対1や親密な関係での読み聞かせでこそ、ゆっくり味わい何度も読んで、その余韻をあとから共有するのに向いている気がします。






2016年10月24日月曜日

教文館さんへ行ってきました!

昨日は東京の本屋さん、教文館さんへ娘連れで行ってきました。
6フロアあるうちの6階が「ナルニア国」といって絵本や児童文学作品の専用フロアです。

約1時間それぞれ好きな本を次々読んで、幸せな時間を堪能しました。(時間が足りなかった)

絵本・児童文学についての大人用の本も豊富にあり、大人も十分楽しめます。
絵本などのほか、民話や昔話集の品ぞろえが多い印象でした。

こんな作品と出会いました。

「しのだけむら」にある、蚊と蛾の学校「やぶがっこう」でのお話。絵の色彩が自然を思わせてきれい。キャラクターのネーミングがおもしろくて声に出すとわらってしまう。子供も気に入っていた。

娘と私はこれを気に入って、購入。

いろいろな患者さんがやってくる病院で、へびのかんごふさんが全身を使って(!)大活躍する様子が思い切り描かれていて、楽しめる。子どもと一緒に読んでにこにこしてしまう絵本。

子どもに読む用に、こちらも入手。
自分が小さいころ好きだったお話「おいしいおかゆ」が収録されていたので、つい。

「おいしいおかゆ」「ルンペルシュティルツヘン」などが収録されています。

前書きにもある通り耳になじむ聞きやすい言葉で書かれています。
ひとつひとつ5-15分くらいで読めるので、少しずつ読み進めるのによく、持って読むのに重くないサイズ感がいいです。

違う本屋さんに行くと、ディスプレイや選書が違うからか、新しい絵本と出会いやすいなぁと思います。

4階にある素敵なカフェにも行ってきました。
また行きたいです!

2016年5月5日木曜日

2歳半-5歳の子どもへの絵本選び

2歳後半-5歳くらいの子ども向けの絵本選びにつき、どんなことが言われているのでしょうか?

色々な方がおっしゃっているのは、

  • 3歳ごろから物語絵本が楽しめる


ということです。

具体的には、たとえば次のような絵本があげられています。





また、大きくなってからも、赤ちゃん向けの絵本も引き続き楽しめます。

その他、それぞれ著者の方が参考になることを書かれていましたので、下記をご覧ください。


★1 よい「絵本」とはどんなもの? 著者 : 永田桂子

2歳6か月-3歳6か月
  • 「信頼」をテーマにした絵本
  • 身近な出来事やイベント(誕生日、お客様、旅行など)
  • 感情を表現する言葉(うれしい、おもしろい、しょんぼり)

3歳6か月-4歳6か月
  • 登場人物に感情移入できるようになる=物語絵本を楽しめる
  • ナンセンス絵本はまだ早い
  • 自分の力で物事を成し遂げ、成長が確認できる内容 例:「ぐるんぱのようちえん」
  • 主語・述語のはっきりしたきれいな日本語

4歳6か月-5歳6か月
  • 主人公が自主的行動をし成功する物語 例:「はじめてのおつかい」
  • 現実とリンクするナンセンス絵本はよくない
  • 身近なもの以外がテーマでも「何?」と聞けるようになる
  • 登場人物に「力持ち」「恥ずかしがり」など特徴があると興味を持つ
  • 抽象的な絵も楽しめるようになる
  • 絵に描かれない部分(=感情、時間、動きなど)が文章で語られるとよい

★2 保育者と学生・親のための乳児の絵本・保育課題絵本ガイド 制作 : 福岡 貞子 礒沢 淳子

1歳3ヶ月-2歳半ごろ
  • 読み聞かせをきかないことも多いので無理に聞かせない

2歳半-3歳半
  • 登場人物の関係がわかるようになってくるため物語絵本を楽しめる


★3 子育てに絵本の読み聞かせを 著者 : 野村昇司

幼児
  • 動物・のりもの・数や文字を扱った絵本などがよい


★5 絵本の現在 子どもの未来 著者 : 松居直

3歳ごろ
  • 「いつかやってみたい、なってみたい」と思えるような感動/心の充実感を得られる絵本


★6 読み聞かせ―この素晴らしい世界 著者 : ジム・トレリース Jim Trelease 訳:亀井よし子

幼児
  • 文字のない本は、連続した絵がストーリーを物語っていることを理解するのによい
  • 本を作るのもおすすめ

★7 絵本とは何か (エディター叢書 6) 著者 : 松居直

2-3歳
  • うさこちゃんシリーズ:次のような理由から子どもが安心する
    • 正方形で安定している
    • 片面が白・片面が色となっておりバランスが取れている
    • うさこちゃんが常にこちらを向いていて安心する
  • わらべうたや詩の絵本で言葉の音やリズムのもつ楽しさを味わう機会をもつとよい


3歳前後
  •  子どもが物語に興味をもち理解するようになる

赤ちゃん向けおすすめ絵本

赤ちゃんにおすすめの絵本をご紹介します。
どの絵本も、読んでいる大人も赤ちゃんと一緒に笑顔になれるような絵本です。
赤ちゃんの絵本選びについてはこちらもどうぞ。

★たまごのあかちゃん



いろんな形・大きさのたまごから、どんな動物が生まれるのでしょう?
リズミカルな言葉と、はっきりした絵、繰り返し、など、赤ちゃんの楽しめる要素がつまった絵本です。

★おふろにいれて



りゅうちゃんがおふろにはいっていると、だれかが窓からのぞいていて・・
繰り返しのリズムが楽しく、みんなでお風呂にはいるうれしさが、伝わってくる絵本です。

★ももんちゃん あーん



ライオンの親子と一緒に食事をするももんちゃん。
読んだ後、ほっこりと心が温かくなる絵本です。
ほっこりの内容は、ぜひ実際に読んでみてください。

★かお かお どんなかお



はっきりした色彩で、たくさんの表情が描かれています。
まだお話が楽しめない赤ちゃんとでも、一緒に楽しめる絵本です。
登場する表情豊かな「かお」をぜひ真似しながら楽しんでください!

赤ちゃん向けの絵本選び


赤ちゃん(0-2歳前半くらい)向けの絵本選びにつき、どんなことが言われているのでしょうか?

複数の方が赤ちゃん向けの絵本の条件としておっしゃっていることはこのようなことです。

  • ものの名前の絵本
  • 言葉遊び・わらべ詩・詩の本
  • 擬音語・擬態語が多い
  • はっきりした写実的な絵
  • 身近なテーマ(例:食べ物、乗り物、生活場面・・)


具体的にはこれらのタイトル等があげられています。


その他、特徴的なご意見としては、中川李枝子さんは下記のようにおっしゃっています。

  • 小さい子でもちゃんとしたお話の本を用意すれば子どもは成長に応じその本を楽しむようになる


また、赤ちゃんは年齢により、絵の描く内容をわからない場合などがあるようです。

  • 4-7か月だと遠近法や鳥瞰図の理解は難しい
  • 7か月-1歳6か月ごろ、複数のものを見分けたり、「連続」を理解したりできる
  • 1歳2か月で平面図から立体を想像できる
  • 1歳6か月までの赤ちゃんは、大人にはすぐ理解できる絵も理解が難しい


それでも、楽しい時間を共有することが目的なら、どんな絵本でもいいともいえます。
上記のようなことも参考にしながら、目的に応じ絵本選びをするといいようです。

より詳しく知りたい方は下記をどうぞ。


★1 よい「絵本」とはどんなもの? 著者 : 永田桂子

4-7か月
  • 写実的な絵・子どもの目線の絵
  • 遠近法や鳥瞰図は難しい


7か月-1歳6か月
  • 身近なものや生活場面が出てくる
  • 擬音語・擬態語が多い
  • 複数のものが描かれていても見分けられる
  • 「連続」がわかる


1歳6か月-2歳6か月
  • 泣く・笑う・転ぶ・こぼすなど自分が経験していることが登場する


★2 保育者と学生・親のための乳児の絵本・保育課題絵本ガイド 制作 : 福岡 貞子 礒沢 淳子

0歳
  • オノマトペ(擬音語・擬態語)が好き
  • ものの名前の絵本、わらべうたなど 例:「もこもこもこ」


★3 子どもの育ちを支える絵本 著者 : 脇明子


  • 赤ちゃんにはオノマトペがよい
  • 中でもオリジナリティのある表現や、書き手が本当に聞いて生み出した表現がよい


★4 子育てに絵本の読み聞かせを 著者 : 野村昇司

0歳
  • 単純な絵・形・はっきりした色 例:うさこちゃんシリーズ、こぐまちゃんシリーズ
  • 赤ちゃん自身の感情や行動とリンクするもの
  • ことばあそび絵本


★5 絵本の現在 子どもの未来 著者 : 松居直


0歳ごろ
  • 赤ちゃんにとって絵本は、親と赤ちゃんのつながり・からだと心のつながりを強める役割
  • 特別に赤ちゃん絵本として選ぶ必要はない
  • 写実的で美しい挿絵・赤ちゃんが興味をもつもの 例:どうぶつのおやこ うさこちゃんシリーズ


2歳ごろ
  • 生活絵本、ものの絵本、わらべ詩や詩の絵本
  • 親しみやすく没個性な主人公だと同一化しやすい 例:こぐまちゃんシリーズ、「たろうのおでかけ(こどものとも絵本)」等たろうシリーズ


★6 本・子ども・絵本 著者 : 中川李枝子


  • 小さい子でもちゃんとしたお話の本を用意すれば子どもは成長に応じてその本を楽しむ
  • ものの絵本はむしろちゃんと一人で読めるようになってからでいい


★7 読み聞かせ―この素晴らしい世界 著者 : ジム・トレリース Jim Trelease 訳:亀井よし子

乳児
  • 読んでさえいればなんでもよいが、下記ものはなおよい
    • 見慣れた/聞きなれたものが登場する
    • マザーグースなどのわらべ詩
    • 単純ではっきりした絵とストーリー 例:ディック・ブルーナ
  • 1歳6か月までの赤ちゃんは、大人にはすぐ理解できる絵も理解が難しい
  • 1歳2か月で平面図から立体を想像できる


★8 絵本が目をさますとき 著者 : 長谷川摂子

  • はじめての絵本は、赤ちゃんも興味津々の食べ物の本がよい

2016年4月3日日曜日

『えほんのせかい こどものせかい』松岡亨子著


えほんのせかい こどものせかい



この本では、とても丁寧に、子どもと絵本の仲介役となる大人が心がけるとよいことが紹介されています。


  • 大人が読んであげることで、大人の文学の楽しみ方までも子供が受け取ることになるので、1人で読ませるのではなく読んであげるとよい
  • 絵本は子どもに何か教訓を教えるためのものでなく素朴に感動できる心を育てるもの
  • 大人は子どもに物語の世界に入ることを助ける読み方をすればよく、過度な演技は必要ない


これらのことは他の本でもいろいろな方がいわれています。

また、この本で最も印象的だったことは、子どもにとってわかりやすい表現が具体的に示されていたことです。

まだ経験も知識も少ない子どもにとっては、想像力で補う部分が少ない簡潔な表現や正確な絵が必要とのこと。

昔話では、すべての内容が具体的な物事や行動として描かれ抽象的な表現はされないそうです。

会話文や、気持ちを直接的に表す主観的な表現など、いっけん文章をやわらかくした感じの表現は、かえってわかりにくいとのこと。

誰が何をしたか、どんな様子だったかという、行動や外観の描写が子どもにはわかりやすいとのことでした。

私も娘にある絵本を2年くらい読み続けてから、ある日内容を理解していないことがわかって愕然としたことがありました。
それでも楽しそうにしていたので、マイナスではなかったにしろ、子どもが理解できてこそ子どもの世界を広げられると思うと、「子どもにとってのわかりやすさ」は意識しておきたいです。

後半は、大勢向けの読み聞かせのコツ、読み聞かせのおすすめ絵本の解説があり、内容のつまった1冊でした。

2016年3月20日日曜日

『想像力―創造の泉をさぐる』内田伸子

想像力―創造の泉をさぐる (講談社現代新書)

この本では、「想像力」を下記のような視点でほりさげています。
なお、実証的な内容ではなく、あくまで著者の論考とのことです。
様々な過去の調査・論考がもりこまれ充実した内容でした。
  1. 想像力とはどのような力で、どんな仕組みではたらくのか
  2. 想像力と言葉の関係
  3. 想像力は生活の中でどのようにあらわれるのか(例:物語、会話、絵、噂話)
  4. 想像力をはぐくむためにはどうすればよいか

1.については、想像力とは「目には見えないものを思い浮かべる能力」(p.12)であり、たとえば過去のよい思い出を心に思い描くことで窮地を乗り越えたり、過去の経験をもとに新たな発想を生み出したりといった様々な形で使われるとのことです。
そしてこの想像の素材となるのは、自分自身の経験(見聞きしたことを含む)であるため、「見たり聞いたりしたことが豊かであるほど、利用できる素材は多くなり、想像のふくらみ方が豊かなものとなるであろうと思われる」(p43)と筆者は述べています。


2.想像力の発達は言葉の発達と密接に結びついているとのことです。
たとえば、小学生が作文を書くとき接続語が重要な役割を果たしているという調査の結果があるそうで、言葉が頭の中にあるものを明瞭化する役割をもつということです。

3.想像力は、あくまで頭の中に表象を思い浮かべる力とのことで、それが外に表れるには、たとえば物語という形で言葉にする、話し言葉にする、絵をかくなどの別の段階があるということです。(想像とその表出は同じではないということ)
また、噂話に尾ひれがつく過程も想像力によるものだという視点は興味深かったです。

4.想像力をはぐくむための要件として下記3つが挙げられています。

  • 誰にもじゃまされずに自分一人の世界をつくり内省すること
  • よく見、よく聞くこと
  • 人との関わりを大切にすること

具体的には、想像する際の素材を蓄積すること、実際にその素材をつなげあわせて考えること、その考えた結果を書いたり話したりして人と共有すること、という3つのことなのかなと思いました。

さらに大人は子どもに、「想像をめぐらす余地を与える」(p243)ことが大事だと書かれています。


2016年2月25日木曜日

『ちいさなき』と絵本の絵

ちいさなき (幼児絵本ふしぎなたねシリーズ)

おととい娘と読んだ絵本。

描かれているのは草ではなく「小さい木」。
最初赤ちゃんだった「小さい木」が、少しずつ成長して、お母さんに少し近づいたことを自慢げにお話しする場面は、
2-3歳の子どもの気持ちそのものをあらわしているなと思った。

娘が1歳のころに買って、最初は興味を示さなかったのだが、毎日散歩に出るようになってこの絵本を喜んで見るようになったことを思い出す。

こういう写実的な絵は、子どもにとって、現実のもののイメージを呼び起こしやすいはず。
カラフルでかわいい絵がいいわけではない、ということは、松居直さん著の『絵本・物語るよろこび』や中村征子さん著の『絵本の本』)にも書かれている。(※)

また渡辺茂男さんも、子どものイメージを呼び起こしやすい絵について、たとえば車なら1台より、数台の絵のほうが現実で見る姿に近く、イメージを呼び起こしやすいと書いている。(『絵本の与え方 (エディター叢書 18)』)

絵の「本物らしさ」は、確実な、絵本選びの基準のひとつだと思う。


※私自身は、絵本の絵を鑑賞して「かわいい~」「きれい~」と心が動かされることも(特に大人には)絵本の楽しみ方のひとつだと思う。
でも子どもにとって絵本が「かわいい」だけで終わるとしたらもったいない。感動したり、不思議に思ったり、勇気づけられたり、わくわくしたり、幅広い楽しみ方をしてほしい。

2016年2月23日火曜日

『りんごのき』と絵本選び

昨晩娘と読んだ本は、「りんごのき」
りんごのき (世界傑作絵本シリーズ―チェコの絵本)

この本は表紙のピンクに惹かれ手に取り、なつかしの海文堂書店で買ったんだったな・・と思い出す。

この絵本は正方形だし(?)絵もかわいらしく、いっけん小さい子向きという感じがして自分もそう思って買ったのだけど、実はもう少し大きい子向けかなと今では思う。

よく絵本を読むのに適した年齢が絵本の裏に書いてあるけど、基本的にはその子次第だと思う。
本人の興味の対象や、これまでに読んだ絵本の量や種類などによって、その絵本を楽しめるかが変わってくるはず。

この「りんごのき」があんまり小さい子向けではないか・・?と思う理由には、扱う時間が長いということがある。

絵本は基本的に、絵と絵の間を頭で思い浮かべることで描かれているストーリーが楽しめるもの。

なので、扱う時間が長いと、絵と絵の間で経過する時間が長く、小さい子の頭の中でその間を思い浮かべるのはむずかしいかなと思う。

もちろんページに書かれていることそのものを楽しむだけでも豊かなものがあると思うけれど、「絵と絵の間をいかに想像できるか?」が最近は自分の絵本選びの基準のひとつになっていて、またその子に適した絵本は、絵と絵の間をどれだけ思い浮かべられるかによって変わるのかなと思う。

それを思うと、普段いろんな経験をしていてこそ、絵本の楽しみも広がる(逆もしかり)ということがよくわかる。

2016年1月3日日曜日

『絵本・物語るよろこび』松居直



この本では、福音館書店で「こどものとも」を創刊した編集者の松居直さんが、いくつもの絵本の表現の意図や、それが子どもにとって持つ意味を説明している。
ここに書かれていることを心にとめておくと、子どもと絵本を読むことの可能性が何倍にもふくらむと思った。

たとえば
「言葉は、喜びと楽しみの中で聞く(読むのではありません)ときにのみ心に残ります」p12

つまり、絵本を与えて勝手に読ませることと、共に楽しみながら親が子に読んであげるのでは、絵本の持つ意味が全く違い、後者のとき、子どもは言葉をよく味わい、絵本の絵と、耳から聞く言葉から物語をイメージすることができるとのこと。
読んでもらうこと自体が楽しいということと、耳から聞くときには読み手の感情が自然と加味されて味わい深くなることによるんだろうか。

「子どもは絵本の絵を読みます」p26

たとえば『どろんこハリー』を、大人と子どもではそれぞれどのように読むかが説明されている。
ここで指摘されているように、大人は絵と字から「あらすじ」を知り、それで満足した気になってしまうことが多い。
でも子どもは絵の細部を見て、登場人物がどんな気持ちか、どんなことが好きなのか、絵に書かれていることをヒントに、書かれていない部分までを想像する。

これを理解すると、ゆっくり読むこと、同じ絵本を何度も読むことが子どもにとって大切なことがわかる。

「絵本は好き嫌いや、”かわいらしい”という感覚で選ぶのではなく、良し悪しで判断すべきです。その良し悪しの判断の基準を与えてくれるものは、質の良い定評のある絵本を子どもたちとともにみることによってしか会得できません。」p51

絵本を「良し悪し」で選ぶこと自体、「良い」は何に照らして「良い」のかという問題もあるだろうし、いろいろな考えがあるだろうし、私自身は「好き」な絵本を選ぶことにもそれなりの意味があると思う。
ただ、子どもの可能性を長期的に伸ばすという意味で「良い」絵本を、大人が探り子供に届けようとする努力はあってもいいんじゃないかと思う。
届けた後の行く末は見守るしかないが。


全体的には、編集者の方の目線だけあり、絵本の絵が物語の何をどのように語っているのか、という裏話(?)が明かされているのが本書の特徴。
たとえば構図一つとっても登場人物の感情を巧みに表現する工夫がなされ、またその手法も多岐にわたっていることがわかった。