2016年3月20日日曜日

『想像力―創造の泉をさぐる』内田伸子

想像力―創造の泉をさぐる (講談社現代新書)

この本では、「想像力」を下記のような視点でほりさげています。
なお、実証的な内容ではなく、あくまで著者の論考とのことです。
様々な過去の調査・論考がもりこまれ充実した内容でした。
  1. 想像力とはどのような力で、どんな仕組みではたらくのか
  2. 想像力と言葉の関係
  3. 想像力は生活の中でどのようにあらわれるのか(例:物語、会話、絵、噂話)
  4. 想像力をはぐくむためにはどうすればよいか

1.については、想像力とは「目には見えないものを思い浮かべる能力」(p.12)であり、たとえば過去のよい思い出を心に思い描くことで窮地を乗り越えたり、過去の経験をもとに新たな発想を生み出したりといった様々な形で使われるとのことです。
そしてこの想像の素材となるのは、自分自身の経験(見聞きしたことを含む)であるため、「見たり聞いたりしたことが豊かであるほど、利用できる素材は多くなり、想像のふくらみ方が豊かなものとなるであろうと思われる」(p43)と筆者は述べています。


2.想像力の発達は言葉の発達と密接に結びついているとのことです。
たとえば、小学生が作文を書くとき接続語が重要な役割を果たしているという調査の結果があるそうで、言葉が頭の中にあるものを明瞭化する役割をもつということです。

3.想像力は、あくまで頭の中に表象を思い浮かべる力とのことで、それが外に表れるには、たとえば物語という形で言葉にする、話し言葉にする、絵をかくなどの別の段階があるということです。(想像とその表出は同じではないということ)
また、噂話に尾ひれがつく過程も想像力によるものだという視点は興味深かったです。

4.想像力をはぐくむための要件として下記3つが挙げられています。

  • 誰にもじゃまされずに自分一人の世界をつくり内省すること
  • よく見、よく聞くこと
  • 人との関わりを大切にすること

具体的には、想像する際の素材を蓄積すること、実際にその素材をつなげあわせて考えること、その考えた結果を書いたり話したりして人と共有すること、という3つのことなのかなと思いました。

さらに大人は子どもに、「想像をめぐらす余地を与える」(p243)ことが大事だと書かれています。